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速記録
事件番号 平成15年わ第7113号
第2回公判  平成16年2月2日
証人  中島らもこと中島裕之
弁護人
中島証人が検察庁でお話しした内容が既に出ていますので概略簡潔に伺いま
す。まず中島証人は,今回の大麻をやり取りしたという事件で問題になって
いるんですが,それ以前に前田被告人に会ったことが何度かあるんだそうで
すね。
   1度だけです。
サイン会のときに1度,それから被告人の経営するレストランに行かれたの
が1度で、2度あるというように聞いていたんですが,そうではないんでし
ょうか。
   私自身は,サイン会というのはいろんな人が来ますので記憶にないで
  す。
要するに,レストランでお話をしたことは1度だと,そういうことですね。
   はい。
そのときに,前田被告人は医療に関する大麻の運動をしているという話が出
たことは覚えていますか。      
   少しあったように覚えておりますが,それが主題ではなかったように
   思います。
後日,医療に関する大麻の資料を中島証人のところに送付したことは覚えて
いますか。
   それはおととしになってからですね。
資料が届いたということですね。
   前田さんにお会いしたのは7, 8年ぐらい前に1度お会いしただけで,
   それ以来お会いしていないんですよ。
                   (1)
それで,その後,その資料があなたのところに送られてきたのは知っている
と。
  資料うんぬんというのはおととし送られてきたもので,前田さんと初
   めで会った直後に送られてきたということはありません。
検察官請求証拠番号甲6,写真撮影報告書添付の写真番号32を示す
   この写真に写っている印刷物,これはそのとき送られてきたものなんでしょ
  うか。
  恐らくそうだと思います。
そういうお付き合いがあって,今回,この事件の前提となる話として,あな
たのほうから前田証人に,依頼の趣旨としては大麻を調達できませんかとい
うことを依頼されたということですよね。
   依頼の内容はそういうことです。
実際にどういうふうに言ったか書いたかは別としてね。
   はい。
それはなんで前田被告人に大麻を調達したいという依頼をすることに決めた
んですか。ほかの人はいないんですか。
   私の動機になっているのは緑内障で失明するんじゃないかというおそ
   れがあって,大麻というものが緑内障によく効くという情報は得てお
   りましたので,そういうことは前田さんが一番詳しいんじゃないかと
   思って,御連絡を差し上げたわけです。
あなたが緑内障という病名だという診断を受けたことがあるんですね。
   2度あります。
いつといつかおおよその日を教えてください。
   十四,五年前に1度,池田市民病院の眼科で眼圧を測ったところ, 1
   9から20あったと。で,女医さんでしたが,緑内障ですねと言って,
   ビタミンBの点眼薬を処方してくれた,それだけの処方しかなかった
                 (2)
   んですよ。で,不信感を抱きまして,その6年後,大阪駅前第1ビル
  の稲葉眼科というところで,これは知り合いなんですが,彼のところ
  へ行って診てもらったところ,やはり眼圧は20,21と,緑内障の
   眼圧だと。ただ,眼底をレンズでのぞいたところ,緑内障とまたちょ
  っと違ったような症状が見られるということで,今のところはどうし
  ようもないので,視野狭窄が起こってくるようであればすぐ来なさい
   ということで帰ってまいりました。緑内障に関してはこの2回で,そ
   れから連日,視野の狭窄が起こっていないかどうか自分でチェックす
   るのが日課になっております。
緑内障というのは, 目の中の圧力,眼圧が上がって,将来的には目の視神経
が挫減してしまう,そういう病気ですよね。
   視野狭窄がだんだん起こってきまして,最終的には失明するという病
   気ですが,手術によって食い止めることはできます。が,一度失った
   視野というのは元には戻りてきません。そういう病気でした。
それは視神経が死んでしまっているからですね。
   はい。
薬物による根本的な治療法とかはないんですか。
   今のところ,私が聞いた範囲でいわゆる漢方的なものでその眼圧を下
   げるとか,そういった効果があるのは大麻だと,自分としては知って
   いるのはそれだけです。
手術をしたとしても,それは治療をするのではなくて進行を止めると,そう
いうことなんですね。
   はい,そうです。かなり進んでからでないと手術をしませんので,結
   局は視野を失うということになるわけですね。ですから,今の医学界
   のレベルでは眼圧が上がっていて,緑内障の疑いがある人間の視野が
   狭窄してくるのを食い止める方法というのは,まだ発見されていない
                                     
              (3)
                                     
        
   んです。
そこで,だれかから大麻を調達しようと考えたということですか。 
   はい。           ’
大麻が眼圧の低下に薬としての効果があることはどういうことで知っていた
んですか。
   あれは私らの,毒物とか薬物とかそういうものをテーマにした本を1
   冊書いておりまして,そのときにいろんな種類の薬物,それから草,
   そういった物に関する膨大な資料を調べたわけです。その中の1つに
  載っておりました。
では,その大麻というものを前田被告人から調達できると考えるに至った理
由は何ですか。
   前田被告人から調達できるかどうかはわからなかったです。ただ,何
   らかのルートがあれば教えてくれるだろうというふうに考えました。
それは医療大麻の運動を前田被告人がしているからということですか。
   それは余り私は知らなかったんです。
大麻とか麻とかに関する商品を店で取り扱っているからということですか。
   そうですね,非常によく勉強をしている人だなという印象を持ってい
   ましたので,だから,もし海外で治すのであればこの国に行けとか,
   そういう何かのサジェスチョンをいただけるだろうという意味合いも
   あってファックスをお送りしたんです。
前田被告人は日本では大麻を吸わないんだと公言していることは御存じでは
ありませんでしたか。
   知らなかったです。
これは弁護人の単なるうわさを聞いただけの話ですが,大麻であれば大阪市
内でも調達できるように言われていると思いますが,そういう努力は考えな
かったんですか。
               (4)
   大阪の場合,暴力団が絡んでいる確率が多いように思うんです。だか
   ら,東京ルートのほうがいいだろうと思いました。
そこで,被告人にファックスを入れたと,そういうことですね。
   はい。
被告人はそれについて,どういうふうに答えてくれましたか。
   お値段をいただきまして,目の具合はどうですか,眼圧はどれぐらい
   あるんですか,視野狭窄は起こっていますかとか,非常に心配してい
   ただきました。
今の発言の最初にお値段をいただきましてという,何をいただきましてとい
う発言でしたか。
   ・・・目の調子はどうですか,眼圧はどれぐらいありますか,視野狭
   窄は起こっていますかという質問,開口一番にそういう話がありまし
   て・・・。
それで,中島証人としては大麻を調達してくださいと,はっきりとか暗黙に
か頼んだわけですよね。
   はい。
で,それはしてくれるということなんですか。
   電話がかかってきまして,結局,手配しましょうということでした。
代金の話もこのとき出ましたね。
   そうですね。代金というのも非常にあやふやだったですね。どれぐら
   いの量を持っていくかも分からないと言われたんですが,どちらにし
   ても私はそのときはお正月明けで,会社の金庫が開いてなかったんで
   すよ,だから,手持ちのお金が1, 2万ぐらいしかございませんでし
   たんで,いずれにしてもお礼をするならば後払いだということでいき
   ました。
どれくらいの量かも分からないものに対して10万円という値段が約束され
                (5)
たようですが,それは高すぎるんですか,安すぎるんですか。
   いや,はっきりは知らないですね。例えば,東京で末端価格が幾らと
   かという話はあんまり聞いたことがないですね。
そうすると裏の社会で幾らかということとは関係なくお金の額が決まった
と,そういうことですか。
   はい。前田さんからは,おととしの暮れでしたかね,麻製のそばとか,
   麻のパウダーとか,.麻の実ナッツ,食品類とか,テキスト,論文,書
   籍,いろんな資料を段ボール1杯分送っていただきました。そういっ
   たもののお礼も込めて,値段というのはあってないようなものだと思
   いますので,私の信条としてはカンパだという気持ちでおりました。
カシパというのは何に対するカンパなんですか。
   もろもろのものすべてに対するです。
段ボールに対するお礼もあるし,ふだんやっている活動,商売ではない部分
に対しての何か応援もあるしと,そういう趣旨で受け取っていいんですか。
   それと大麻を手配していただいたことへのお礼の意味ですね。
その上で,翌平成15年1月5日ごろに,前田証人や後から名前の分かる桂
川氏と会ったわけですね。
   はい,そうです。1月5日の夜7時です。
このときは会うて,その話の中で緑内障の話は出ましたか。
   出ました。何ら進展がないんだという話をして,前田さんはこれは確
   かに緑内障に効くんだけれども,完壁に治るわけではないですよとお
   っしゃいました。
それについて,桂川氏のほうは何か言っていましたか。
   彼は無口でほとんど何も言わなかったです。
今回,中島証人に関する裁判の判決が出ているんです。証拠に出てきている
んです。そこにはあなたが緑内障だったので大麻が必要だったというふうに
                (6)
は書かれていないんですが,このときはそういう話はしなかったんですか。
   その裁判のときですか。
はい。              .
   それは大麻所持,譲受ということでの裁判でしたので,動機までは話
   はいかなかったです。
それと,この判決の中では今回のことよりも前から大麻を使っていたように
説明がされているんですけども,そういう話も出たんですか。
   世界各国を私は取材で回りますんで,大麻文化圏というのが非常に地
   球上では広範囲にわたってありますから,そういう国に行ったときに
   は地元の人と一緒に吸ったり,そういうことは多々ありました。
あなたは大麻以外の禁止薬物,ヘロインとかコカインとかそういうたもの含
めて,そういう禁止薬物を使用するということはあるんですか。
   ないです。                  
それはなぜですか。
   怖いからです。
何が怖いんですか。
   自制心というものに自信がないので,耽溺してしまうであろうという
   おそれがあるので,手を出さないにしています。
では,大麻というのは耽溺してしまうものではないんですか。
   違います。
それはあなたの実感がそうだというだけですか。
   言わば,お茶みたいなものでして,お茶中毒になる人っていませんよ
   ね。そういう感じで,大麻というのは依存性とか全くありません。
で, 1月5日ごろに会合で終わって, 3人別れたんですね。
   はい。
3人が別れるまでの間に,前田被告人が桂川氏に10万円のお金を渡すとこ
                (7)
ろは見ましたか。
   いいえ。私は10万円持っていくはずだったんですが,正月なんでお
   金が出せないので,後日前田さんあてに送りますから,後はよしなに
   お願いしますということで別れました。
前田さんのほうから立て替えておきましたよという話が出たということです
か。
   はい。
後で,あなたのほうも送ったわけですね。
   はい。
検察官
あなたが平成15年1月5日に大麻を譲り受ける前に,最後に緑内障の件で
お医者さんの診察を受けたのはいつですか。
      ・・・6年ぐらい前じゃないでしょうか。
それ以降は,緑内障の件で医師の診察を受けたことはないということですか。
      話,あれなんですが,私は40歳のときにうつ病になりまして,自殺
      未遂をしたりして,その後操病になって,要するに操うつ病になって
      精神科医に非常に長く通っていたんです。で,非常に強烈な精神安定
      剤の,6種類ぐらいのトランキライザーの処方を受けておりまして,
      それは毎日3回飲んで、夜寝る前はこれも強烈な睡眠薬というのを飲
      んでおりました。で,その薬の副作用というのは6種類のトランキザ
      イラー,すべてかすみ目,ふらつき,運動障害というものでした。そ
      の結果,5年前から目が見えなくなりまして,要するにこうやつて皆
      さんがいるというのは見えるんですが,新聞は読めない,自署なんて
      とんでもない,何よりも自分の書いている字が読めなくて,行間だら
      だらと流れていく状態になりまして,仕方がないので,妻に口述筆記
      をしてもらって,それで4年間口述筆記で著作物を書いておりました。
                 (8)
      で,そういう問題と緑内障の問題とが絡み合っておりましたので,自
      分の目というものに対して,作家というのぽ頭と手と目が商売ですか
      ら,目が見えなくなるということに一種パニックに近い状態になって
      いたんですね。
6年間,少なくとも緑内障の件でお医者さんにかかっていなかったというこ
とは,緑内障の疑いということですが,どの程度進行しているかなどについ
て,お医者さんからはその間説明は受けていなかったということですね。
      いえ,頻繁に行っていた時期もあるんです。ただ眼圧はいつでも高か
      ったです。下がることはなかったです。ただ視野狭窄とかそういう状
      況が起こってこないので,自分で自分を診断するしかないものですか
      ら,自分で目の視野,後ろのどこまで見えているとか,そういうチェ
      ックを毎日していて,ですから自分の目に関しては非常にヒステリッ
      クになっていましたね。
頻繁に通っていた時期というのはいつぐらいですか。        ’
      6, 7年前です。
あなたは,先ほどの話だと,本か何かを読んで緑内障には大麻がいいという
ことを知ったということですね。
      はい。
お医者さんからそういうふうな話を言われたということはあるんですか。
      ないです。医者はそんなことを言わないと思います。
当然のことですが,医者から大麻を勧められたということはないわけですね。
      当然ないわけないです。
あなた自身の判断,あと本を読んでの判断ということですかね。
      はい。
あなた自身は自分の裁判では,要するに大麻を使っても無罪だという主張は
していなかった。
                (9)
      していません。
それはどうしてですか,緑内障のために必要だったというふうな趣旨に聞こ
   えるから。
      大麻所持法というものがあって,それに抵触して,6. 9グラムで
      すか,所持していたわけですから,これはだれがどう見ても有罪なわけ
      ですから,自分が,罪がないなどと言ったことは一言もございません。
例えば,大麻取締法違反が憲法違反であるとか,そういうふうな主張をして
無罪だというふうな主張をすることも考えられると思うんですが,そういう
ことは考えなかったんですか。
      考えなかったです。この間題に関しては,その裁判では私がしゃべる
      時間は与えられましたので,私は大麻解放論者ですと,話せば長くな
      るので多くは話はしませんが,大麻というのは無害であって,むしろ
     有益であって,非常によい嗜好品であります。これを取り締まる大麻
     所持法というのはナンセンスな法律だと常々書き物にも抗弁しており
      ます。ただ,その解放論というものと,今回,私が法律に抵触して大
     麻を所持していたという問題とは全く別の次元の問題なわけであって,
      大麻解禁論は別のステージで闘うべきだと,今回のことに関しては法
     律に触れたということにおいて,非常に反省しておりますと,そうい
     うふうに申し述べました。
裁判官
   平成15年1月5目に大麻を譲り受けましたね。
      はい。
   その大麻を使いましたか。
      5分の4ほどですね。
  使った結果,あなたの緑内障がよくなったかどうかというのはどうなの。
      分からないです。ただ,その後眼圧を測っていないので下がったかど
              (10)
   うかというのも分からないです。
この事件の後,眼科に行ったことはないということですか。
   はい。           ‘
平成16年2月9日
    大阪地方裁判所第13刑事部
    裁判所速記官
松  岡  圭 子

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