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速記録
事件番号  平成15年わ第7113号
第2回公判 平成16年2月2日
被告人   前  田  耕  一
(弁護人)
あなたが大麻を知ったのは,若いころに世界旅行をしたときですよね。
   1970年,韓国で初めて経験しました。
それは本に出ているとおりということですか。
   はい。
その後,「大麻堂」という大麻の関係の食品とか商品を扱う店を開いたのは
どういう理由からですか。           
   大麻は日本の歴史とか文化と非常に関係がある,非常に有益な植物で
   あるにもかかわらず,10年前は,マスコミ,あるいは世間の大麻に
   対する風当たりというか,偏見が非常に強かったものですから,そう
   いうものに対して,偏見,差別,ぞいうものをなくするために店を
   通して宣伝活動をしようと思いました。
先ほどの中島証人の検察官に対する調書の2ページ目,第3項目の中に,あ
なたが中島証人に対して,らもさ々,何でもありますよと言ったという発言
が書かれているんですけれども,こういう発言はあなたから中島さんに対し
てあったんですか。
   いえ,そういうことは全然ありません。当時私は大麻で手が一杯で,
   ほかのものには全く興味がありませんでした。
で,仮に何でもありますよと言ったとしても,それはここの中島証人が書い
ている, 日本では違法な薬物である大麻やその他覚せい剤,コカイン等,
何でも用意することができる,欲しいときには言ってくれればいつでも準備す
るという意味で言っているんでしょうかね。
   いや,そういうことは全然ありません。私は当時,覚せい剤はもちろ
   ん,ほかの薬物を入手するルートとか全然ありませんでしたし,関心
   もありませんでしたし,そういうものを使用することには反対の立場
   を取っていましたから,当然入手したりあっせんしたりということは
   考えられません。それは全く何か誤解されているように思います。
違う面から言うと,あなたのお店では,適法に入る大麻関係の商品,例えば
煙を吸うためのパイプ,あるいは適法に授受できる大麻を使った食品とか薬
品とか,そういったものは置いてありますと,そういう趣旨なんですよね。
   そうです。
で,お店をやっているうちに, 「医療大麻を考える会」というのを設立され
ましたね。
   はい。
これはどういう動機からですか。
   私は,ホームページでいろいろ呼び掛けとかしていたのですが,その
   中で,大麻は医薬品として効果があるというふうなこともうたってお
   りましたところ,大麻が効果があるという多発性硬化症という難病に
   指定されている患者さんから連絡があり,それで,今のままでは患者
   さんが使いたくても使えない,これはよくないということで,呼び掛
   けて会を作りました。
「医療大森を考える会」という会には,患者さんの会員という方もいらっし
やるわけですか。
   患者さん及び患者さんの家族が,今,会員が150人ぐらいいるんで
   すけれども,そのうち半分ですね,あとは支援者ということで,法律
   関係者,医者,看護婦,薬剤師などがいます。ジャーナリストもいま
   す。
あなたがその患者さんを桂川さんに紹介したということもあるんだそうです
ね。
                (2)
   あります。
それはどういう方をあえて紹介するんですか。   
   まあ外国の文献で,大麻が効果が非常にあって,しかもほかの治療法
   が非常に限定されているという,まあ多発性硬化症,まあ厚生省で難
   病指定されているんですけれども,その患者さんを2名だけ紹介した
   ことがあります。まあほかからも,効果があるんであれば何とか入手
   してくれないかという哀願というか,そういうものもありましたけど
   も,私としては,まあほかの方法を考えてくださいということで,断
   っておりました。
あなたが桂川証人を紹介するというのは,桂川証人に大麻を調達して病気を
治してもらってくださいという趣旨だということですよね。
   そこまでは分かりません,といいますか,桂川さんにあるかどうかも
   分かりませんし,桂川さんから栽培方法とか種をちょうだいして,自
   分で栽培するということも考えられますから,紹介した後はどういう
   ふうになっているかというのは,余り聞いてません。
紹介したときに,桂川証人からあなたのほうに紹介料が来るとか,あるいは
桂川証人が紹介された患者さんに金銭を要求するとか,そういうことはない
んですか。
   金銭関係は全くありません。私が紹介した患者さんと時々会っていた
   というふうな話は聞いていますけれども,1度桂川さんにお金をもら
   っているのと聞いたら,いや,全然もらっていませんということは聞
   いておりまして,まあ医療ということに関して言うと,桂川さんはお
   金を全く取らない人だなというふうに認識しておりました。
それで本件の話を伺うんですが,本件の依頼を,先ほど出てきた中島証人か
ら受けたのは,平成14年の12月ごろということですね。
   はい。
                (3)
依頼の内容として,中島証人とあなたの言うところに調書上,多少食い違い
があるようですけれども,具体的にはあなたの記憶ではどういう依頼があっ
たということなんですか。   
   まず電話があって,ファックス送りますからということで,そのファ
   ックスを受け取ったら,緑内障で困っている,目が見えなくなるのが
   怖い,緑内障に卓効のある薬草があればいいのになという内容でした。
具体的に大麻を送ってくださいとか,大麻を調達してくださいとか,そうい
うことはなかったんですか。
   そういう表現はありませんでした。
でも趣旨はそういうことなんですよね。       
   まあ大麻が必要となっているんだなということは理解できました。
先ほど中島証人の話からも少し出たんですけれども,あなたと中島証人は,
会った回数としても,この平成14年12月までの段階で,1度か2度,中
島証人の記憶では1度だけだというんですが,その方から,大麻を譲ってく
ださい,あるいは大麻を調達してくださいと言われたとしても,普通は譲る
気にはならないんじゃないんですか。
   まあ普通はそうかもしれませんけれども,私はらもさんの著作はもう
   10年,15年以上前からずっと読んでおりまして,らもさんのこと
   は理解していましたし,私は自分の著書があるんですけども,その著
   書に解説を書いていただくのをだれにしますかと出版社に聞かれたと
   きに,中島さんにしてくださいと言うと,まあ多分中島さんならして
   くれるだろうと思ってたんですけど,やっぱりしていただいたんで,
   私のこともちゃんと理解していただけてるんだなという,相互の,会
   った回数は少ないですけれども,その作品を通して信頼関係はあった
   というふうに思います。
で,最終的にはあなた,大麻を調達する動きをすることにはなるんですけれ
                (4)
ども,それに至るについての主たる動機は,そうすると中島証人というのが,
自分がある種尊敬をしている方だったからということなんでしょうか,それ
とも緑内障ということがファックスに出ていたから,それが真実だと思った
からなんですかね。
   ファックスが来た後,らもさんに電話をしたときに,私はまず緑内障
   の調子はどうですか,視野狭窄あるんですかというふうなことを,何
   回もしつこいほどに聞いたんですけれども、それはまあ,らもさん,
   先ほども言ってられましたけれども,作家にとって目というものが多
   分,手以上に非常に重要なものだと思います,それは私自身,ものを
   多少書くのでよく分かるんですけれども,作家というのは,まあ自分
   の書いた3行前とか数ページ前を見ながら,次の文章につなげていく
   わけで,もしそれがうまく見えないとなると,作家生命といいますか,
   そこまでかかわる重大なものであるということは私はすぐに感じまし
   た。ですので,まあこれは緑内障だというのは,これは大変だという
   ふうに認識して,その後も電話する度に,どうですか,どうですかと
   聞いたわけです。
今日,証拠に出ました中島証人の既に確定した判決の中を読みますと,具体
的に読みはしませんけども,大麻を乱用していたというような趣旨に読める
部分もあるんですが,仮に治療ではなくて大麻を乱用していたのだとする
と,あなたとしては調達するという動機になったんですかね,ならなかった
んですかね。     
   乱用というところは,ちょっと私は,彼の作品の中で読んだことはあ
   りませんが,もし医療目的でなかったとしたら,私は,「医療大麻を
   考える会」の代表でもあるわけですので,それ以外のことで,嗜好用
   とかそういうものでかかわると,もし何かあったときには,ほかの会
   員さんに迷惑が掛かり,会全体に対する誤解が生じることもあります
              (5)
   ので,もし中島さんが緑内障だということでなかったとしたら,何や
   かや理由をつけてお断りしていたと思います。
大麻を授受するというのは,もちろん刑罰で禁止されているということは知
っていますよね。
   はい。
それでもやってあげたいほどの病気ということなんでしょうか,緑内障とい
うのは。    
   先ほども言いましたように,緑内障というのは,眼圧が高くなって,
   手術をしても進行が止まればいいほうで,また再発してだんだん悪く
   なっていって,最終的に目が見えなくなるという恐ろしい病気です。
じゃあ簡単にその緑内障という病気を説明していただくことにしますが,緑
内障というのは,どういう病気なんですか。
   目の中に水があるんですけれども,その水が増えていって,それで圧
   力が増えて,神経を圧迫して神経を駄目にしてしまうという病気で,
   原因は分かっていません。
原因は分からないということは,根本治療はできないということですね。
   そうです。      
対症療法として,眼圧を下げるという治療はできるわけでしょう。
   すべその病気には何らかの治療法,全く治療法のないものはないと思
   います。ただ大麻の場合は,眼圧を25パーセントぐらい下げるとい
   うことで,いろんな国際機関で研究され続けています。
大麻が一番眼圧を下げる,目の圧力を下げるには効果があるというふうな発
言と聞いていいんですね。
   そうです。
ただ大麻は当然反面,害があるでしょう,それはまずいんじゃないですかね。
   害があると言いますが,いわゆるユーフオリアという,幸福感を得て
                (6)
   しまうんですけれども,そういう精神活性作用があるというのは確か
   です。それが不快に感じる人はやめればいいわけで,むしろそういう
   精神的な作用というのが,病気の場合,うつ病とか,うつとかストレ
   スとかそういうものが一杯かかるわけですから,それがそういう精神
   作用によってなくなって,病気に立ち向かうという気持ちになる場合
   も非常に多くて,それはむしろ害というよりも有益な作用だと思いま
   す。特にらもさんの場合は,アルコール依存がありますけども,大麻
   の活性,精神活性成分がそういう依存性の病気に対しても効果がある
   というふうなことは言われていますし,特にらもさんの場合は,高血
   圧が伴っていますから,高血圧の伴う緑内障には著効があるというふ
   うにいろんな数多くの文献で言われております。
端的に聞きますね。問題になっている害というのはおよそ2つあって,1つ
は,妄想を持ったり,妄想に従って人に迷惑を掛けたりするという害,もう
1つは,大麻を始めると,いずれはコカイン,ヘロイン等,より強い禁止薬
物に進むだろう害,それを言っているんです。その害はある,んじゃないです
か。
   いや,いわゆる妄想,幻聴,幻覚というものはありません。まあほか
   の薬物に進むかどうかということにつきましては,アメリカの国立医
   薬研究所で否定されており,WHOもそのように言っております。ま
   た,今回は医療大麻の件について私は発言していますので,医療現場
   で使われる大麻が一般の乱用につながる,あるいはそれからほかのも
   のにステップアップしていくというふうなこととは全く無関係だと思
   います。
本件のほうに戻ります。それであなたとしては,じゃあ大麻を都合しましょ
うという気持ちになられたわけですね。
   (うなずく)
                (7)
で,代金のお話になりましたが, 10万円という話はあなたから出たようで
すけれども,そうですか。
   まあらもさんに電話をして,じゃあ何とかしましょうというふうに話
   をしたんですが,その後,桂川さんに電話をして,どうですかと言っ
   たら,いいよというようなことだったので,またらもさんに電話をし
   て,当時年末だったもんですから,1月の初めごろ僕は大阪に帰るん
   ですけれども,そのときに何かいいことがあるかもしれないよと言っ
   たら,らもさんが,ああ,そうですか,ああ,うれしいですね,幾ら
   ぐらいですかと言ったので,私は,幾らでもいいんじゃないですかと
   言ったんですが,それだったら困るということで,やり取りがうまく
   いかないと思ったので,とっさにまあ,じゃあ10万円ぐらいでいい
   んじゃないですかというふうな言い方をして,その場をまとめたわけ
   です。
先ほどの話では,桂川さんは患者さんに上げるとする場合はお金を取らない
というような話をしてたわけでしょう。今回も中島証人は,有名人ではある
けれども患者さんなんだから,お金が要らない人なんですと説明してもよか
ったんじゃないですか。
   いや,それはそのときはまだ,私が調達して持っていくと思っていた
   と思います。まだ桂川の話は全然していませんでしたし,私とらもさ
   んの間のことで,いや,それじゃ困ると言われたんで,まあ適当に,
   まあとっさに10万円と答えたわけです。その後,桂川さんとその話
   は全然していません。
その桂川さんの話に移りますが,そうやってあなたと中島証人との間で,平
成14年12月ごろに大麻を調達しますという話がまとまったわけですね,
それであなたとしては桂川さんから調達しようと思ったわけでしょう。
   はい。
                (8)
桂川さんのほうに連絡取りましたね。
   はい。
桂川証人にはどういう話をしましたか。
   僕の知り合いで,大阪にいる人なんですが,緑内障で困っていると言
   っているんですよって言ったら桂川さんは,ああ,そう,分かったと,
   それぐらいだったと思います。それでともかく調達できるということ
   が分かったので,それからまたらもさんに連絡したわけです。
先ほどの桂川証人の話では,自分が尊敬する中島さんの名前が出たので,中
島さんには当然持っていきたいと思っているんだという話でしたけども,そ
ういうお話で進んでいたんじゃないですか。
   いえ、それは桂川さんが勘違いしていると思います。私は最初に連絡
   したときは,らもさんの名前は全然出していませんでした。というの
   は,もし話が頓挫した場合,後で桂川さんのほうから,実はらもさん
   のほうが欲しがっていたんだよということで,そういう話が残ってし
   まうのが嫌だったので,多分2回目以降,3回目ぐらいだったかに,
   実はあればらもさんなんですという話をしたんです。
そうすると,あなたの認識では,桂川証人が大麻を持ってくるとしたら,そ
れは治療のためなんだと,単に嗜好用ではないんだという認識だということ
になるんですか。
   私は桂川さんには病人しか紹介していませんし,桂川さんも,私が紹
   介する人はすべて病人だと思っていますから,らもさんの名前を出す
   以前から,それは緑内障の人なんだというふうに考えていたと思いま
   す。ただららもさんの存在というのが彼にとってはインパクトがすごく
   多かったので,記憶が前後しているんではないかと思います。
あなたが桂川さんに連絡をして大麻を調達してほしいと言ったとき,当然代
金はどうするかという話になるんじゃないかと思うんですが,どうすると決
                 (9)
めたんですか。        
   いや,代金の話は全然出ませんでした。それはまあ,それ以前に紹介
   した人から彼は全然お金をもらっていないということでしたし,ほか
   の人にもただで上げているという話を聞いていましたので,お金の話
   は全然出ませんでしたし,らもさんも何グラムというような話もなか
   ったし,桂川さんにもそういう数量の話も全然していません。
中島さんは払うと言っているわけですから,それを受け取らせないというわ
けにはいかないんじゃないんですか。
   その辺が一番困ったんですけど,うどんすき屋さんで桂川さんが物を
   見せて,らもさんが見たときに,らもさんがそのとき初めて自分は桂
   川さんから調達されるんだということが分かったようで,袋を開けて
   中を見たときに,これが10万円ですかと言って,10万円でええん
   ですかというふうに非常に驚いていたのを覚えています。それでその
   ときに,私とらもさんの間では,お金は後で立て替えるという話をし
   ていたんですけれども,もちろん桂川さんはそういうこと全然知らな
   いわけですから,そこでらもさんが10万円の話を出してきて,そし
   たらそのときに桂川さんは,いや,おら,お金はいいだよみたいなこ
   とを言ったものですから,ここで自分がお金を出したら何かもめると
   いうか,ほかのお客さんもいる手前で,そういうことになるのが嫌だ
   つたもんですから、桂川さんに対しては,くれると言ってるんだから
   もらっておけばいいじゃないかと言って,らもさんに対しては,後で
   払っておきますからと言って,まとめたものです。
要するに,中島さんの代金についての認識と桂川さんの代金についての認識
については,そごがあったということですよね。
   らもさんはまあ,もともと桂川さんに払うというふうな気持ちでは全
   然なかったと思います。
                (10)
ただあれでしょう,あなたが立て替えるという話も,平成14年12月以降
出ていたわけだから,そういう意味では,あなた以外のだれかに払うという
つもりはあったんでしょう。   
   いや,立て替えるというか,今,お金がないからという表現であって,
   立て替えると言ったのは,後から取調官がそういうふうな言い方をし
   ただけです。
その上で,平成15年の1月5日ごろに,梅田の飲食店で,あなたと中島証
人と桂川証人が会合を持ちましたね。
   はい。  
その会合の中で,あなたや桂川証人は,中島証人に現在の病気の状態は尋ね
ましたか。
  尋ねましたが,私がらもさんにということですか。
はい。
   尋ねましたけども,それ以前に電話でかなり聞いていましたので,ま
   あ簡単に,どうなんですか,最近はというような話はしました。
あなたがやっている「医療大麻を考える会」という会には,緑内障の方は参
加されておられるんですか。
   おりません。
そうすると,中島さんから病状を聞いても,それがどの程度重大なものか分
からないということですね。  ご
   そうですね,まあただ緑内障というのは失明に至る病気であって,治
   療法がない,あるいは限られているということは知識がありましたし,
   実際に町のお医者さんで,眼医者さんで,緑内障というのは治るんで
   すかと言ったら,そんなもの治りまぜんよと即座に言われて,ああ,
   大変なんだなというのは以前から知っておりました。
それでその梅田の飲食店で,桂川証人から中島証人に大麻を渡されたという
                (11)
ことですね。
   はい。
先ほどの桂川証人の話では,あなたを介して中島証人に大麻の袋を渡したと
いうように言っていましたが,そうだったんですか。
   いや,それは私は見てましたから,のぞき込んだのはのぞき込んだん
   ですけど,私が受け取ってそれをらもさんに渡したということはあり
   ません。 
代金はそのとき桂川証人に渡しましたか。
   いや,そこで渡そうとすると,もめるというか,桂川さんが,おら,
   要らねと固持するというのが分かっていましたから,そのときは,ま
   あもらっておけと言っただけで,まあふうんというようなものでした
   と思いますけど、らもさんも,じゃあ前田さん,必ず送りますからと
   いうことで,まあうやむやというか,何とかもめるのを収めたという
   感じですね。
で,あなたから桂川証人には,いつどうやってお金を渡したんですか。
   うどんすき屋を出て,地下鉄御堂筋線に乗って難波へ行く途中に,電
   車の中で,桂川さんのポケットの中に無理やり突っ込んだという感じ
   です。というのは,らもさんが後でお金を送ってくるということはほ
   ぼ確実だったものですから,私としては,そのお金の処理に困ったと
   いうか,私が頂くというのは変というか嫌ですし,またあれ,お金も
   らったんだろうみたいな,なんか変なことになるのが嫌だったもので
   すから,まあその処理という感じで無理やり突っ込んだんですけれど
   も,私としては,その後らもさんが送ってくるとか送ってこないとか
   いうのは,余り,送ってこなくてもよかったし,ほとんど関心があり
   ませんでした。
桂川証人のほうも,渡されたお金を返したりはしなかったんですね。
                (12)   そうですね,ああ,そうというふうなものだったと思います。
先ほどの大麻一般の話からすると,あなたのおっしゃる意味では,大麻は全
面的に合法化してもいいという意見でもあるわけですよね。
   まあ大麻はいろんな役に立ち,まあ嗜好用に吸っても,今まで言われ
   ているような,頭がおかしくなるとか,何か中毒症状が起こって禁断
   症状が起こるとか,厚生省はそういうことを言っていますけども,そ
   ういうことは全然ないわけですけれども,今,現状ある大麻取締法に
   よって最も被害を被っているのは,大麻があれば治る病気を持ってい
   る病人たちなので,まずこういう人たちに与えられるべきだというふ
   うに,それは分けて考えております。         
取りあえず著しく必要なのは患者の方であると,そういう認識で,今回の裁
判に臨まれていると,そういうことなんですか。
   そうです。
(検察官)
一般的な認識を確認しますけれども,一般的に大麻を譲り渡したり所持しち
ゃいけない,悪いことだと一般的に認識されていることはあなたは御存じで
すか。                
   違法性の認識はあります。
で,ちょっと事実関係で確認しますけれども,桂川から中島裕之のほうに渡
されたものが大麻であるということは,あなた,分かっていたわけですね,
   分かってました。     f
それで1点分からないんだけれども,あなた,逮捕された直後,知らなかっ
たというふうなことを述べていますね,それはどうしてなんですか。
   まあ私がかかわったことではないという,そういう関係性を否定する
   ためにうそを言いました。
別にあなたは,そもそも大麻取締法違反が医療目的についても違法だとして
                  (13)
いること自体,おかしいと言っているわけですよね,知っているんだったら,
堂々と分かっていましたと述べたらよかったんじゃないですか。
   まあそこは,刑罰と自分の主張をてんぴんにかけたわけですね,刑罰
   を受けても構わないというふうに考えて主張を変えたわけです。
今後も同じように,緑内障の患者さんとかから頼まれたら,同じような口利
きというか,そういうふうな行為しますか。
   うん・・・まあそういうことがないように大麻取締法第4条,第3項
   が憲法違反であるということを認めていただいて,法律を改正してい
   ただきたいんですが,実際に大麻があれば病気が治る患者さんを前に
   して,そういうことは絶対しないという自信は今のところありません。
(弁護人)
最初にあなたは事件を否定されましたよね,黙秘権を行使するということは
考えなかったんですか。
   そうですね,まあそれは考えなかったです。
桂川さんが刑罰を受けるおそれがあるので,黙秘権を行使するということは
考えませんでしたか。
   まあそこまで頭が回りませんでした。
(裁判官)
あなたが桂川に渡した10万円のことについて聞きます。その10万円とい
うのは,あらかじめ用意してあったんですか,それとも別に用意はしていな
かったけれども,財布に入っていたという感じなんですか。
   私は,会社の経営をしておりまして,財布の中にはいつも何十万円か
   入れておくようにしています。ですからそれが用意したものか,ある
   いはまたなかったら後日ということになっていたかもしれません。だ
   からその10万円はその目的のために準備したとは言えないです。
例えば10万円だけ封筒に入れて用意してあったとか,そういうわけではな
                 (14)
いんですか。
   いや,そういうことではありません。電車の中で出したときにも、財
   布の中から出して1,2,3と数えて,ぱっとポケットの中にねじ込
   んだという形です。
あなたの捜査段階の調書だと,いつどのように渡したかについての供述がは
っきりしていないようなんだけど。 
   いえ,それは私ははっきり言いました。それは最初は2人がまあ,こ
   れこれこうで立て替えたうんぬんという話は出ているんですけれども,
   その後のほうで私は,それは渡した場所というのは実は違いますよと
   いうことで,私む調書の中ではそういうふうになっているはずです。
あなたの検察官に対する供述調書の中で,君がお金を桂川に渡したのはいつ
か,はっきりと覚えていませんが,店を出た後だったように思います,店内
で,大麻の授受があったときではないか,この点ははっきりしませんが,も
し桂川さんや中島さんの方でそのように言われるなら,それで間違いないで
すというようなやり取りが記載されているんだけど。
   その後,否定したんですが,例えばうどんすきを食べた店が,まあ2
   人はこう言っているぞというふうなことで,写真も見せられて,2人
   は間違いないと言っているからそうしとけというふうなことがありま
   して,取調官がまあこう言っているんだから,これでもまあいいだろ
   うというふうな言い方をされたもんで,もう、かわいそうだなと思って,
   このぐらいでと思ったんですけど,うどんすきの店は明らかに違いま
   す。それからそのお金渡した部分も,私の記憶ははっきりしています。
平成16年2月10日
    大阪地方裁判所第13刑事部
   裁判所速記官 藤平千穂
                   (15)

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