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国連世界保健機構(WHO) 1997年 薬物乱用プログラム・レポート
このページはhttp://whqlibdoc.who.int/hq/1997/WHO_msa_PSA_97.4.pdfの抄訳です。

12章 医療使用

12.1 背景
カンナビノイドが医療用として幅広い可能性があるのは、脳や人体のほかの部分に、カンナビノイド受容体が幅広く存在していることからきている。ほかにも異なったカンナビノイド受容体が存在し、それらに選択的に作用する新しい化合物が開発されれば、それが作動薬であれ遮断薬であれ、多くの疾患に対してそれぞれの治療への門戸を開くことになるだろう。将来、これらの化合物のいくつかは、人体にもともと存在するカンナビノイド・システムのひとつあるいはそれ以上の機能に特定的に作用することになるかもしれない。
吐き気と緑内障に関するカンナビノイドの医療的可能性には肯定的な評価はあるが、幅広く使用されたことはなく、臨床的研究も限られている。カンナビノイドの他の使用方法については、基礎的な薬理学と実験的調査、効果に対する臨床研究が必要とされる。

12.2 癌の化学療法における制吐剤としての利用
癌の化学療法により引き起こされる吐き気の抑制については、1970年代後半から1980年代前半にかけて、THCの安全性とそれなりの効果が、実験的に確立された。その後、ドロビナール(合成THC)がいくつかの国で、吐き気を抑える補助的療法として医療的効果があるのが証明された(Grunberg & Hesketh , 1933)。それまでの経口摂取による望ましくない副作用は、量を半分にしてカプセルにいれたドロビナールができて改善された。

12.4 その他の分野における医療的可能性
THCは緑内障で高くなった眼圧を下げる効果があるとして長く知られてきたが、医学的には完全に調査されてはいない。それはTHCの長期にわたる使用が、目と全身に与える影響が、特に、緑内障に最もなりやすい高齢者において気になるからである。
初期の研究ではカンナビノイドは他の鎮痛剤より効果があるというわけではなく、また、動物実験によれば、その鎮痛効果は激しい副作用が発生する用量の場合に限られているとされていた。最近開発された合成カンナビノイドのいくつかは非常に効果的な鎮痛剤であるが、人間において鎮痛作用と副作用がはっきりと分離する点が残されている。このような化合物をもっと実験すれば、その作用メカニズムばかりでなく、人体の痛覚の感知と遮断の複合的メカニズムまでが明らかになるかもしれない。
動物実験ではTHCや他のカンナビノイドが、さまざまな疾患に対して効果があることを示している。しかしながら、人間に対してはカンナビノイドが痙攣、運動障害、多発性硬化症、喘息の治療に有効であるとは、いまだ証明されていない。また鬱病に効果があるという報告があり、鬱状態の「自己治療」にカンナビスを実際に使用している患者もいるかもしれないが(Gruber et al,1997)、これについてはもっと正しい評価が必要である。

12.5 カンナビスの医療的可能性
これまで述べてきたTHCの医療的使用から、大麻そのものの医療的可能性にまで論議が進んできた。しかし、この点については研究がほとんどなく、臨床研究も満足に行われていない。大麻の医療使用の可能性を探求するには、科学的な事柄がいくつか検討されねばならない。それらは臨床・前臨床研究のために必要な大麻製剤の標準化、摂取方法として喫煙した場合の研究にともなう困難、比較試験において被験者および患者が大麻タバコと容易に区別できないようなプラセボ(偽薬)タバコの必要性、大麻タバコを直接吸った場合とその他のカンナビノイドあるいはその他の医薬品との効果の比較研究に要する多数の患者、大麻および同時に煙となるその他の成分を摂取しないための代替投与方法の可能性などである。加えて、このような調査研究が大麻取締方針に対してもつ幅広い因果関係も慎重に検討されなければならない。

14 要約
カンナビノイドの医療使用
いくつかの研究によれば、カンナビノイドが癌やエイズのような進行した疾患の悪心や吐き気に治療的効果があることが判明している。アメリカでは10年以上も前からドロナビノール(合成THC)が医師の処方で入手可能である。カンナビノイドのその他の医療使用についても、喘息、緑内障、向鬱、食欲刺激、鎮痙などを含め、管理された研究により実証されつつあり、この分野における調査は継続されるべきである。例えば、胃腸機能のカンナビノイドの効果の中枢および末梢におけるメカニズムのより基礎的な研究がなされれば、悪心と嘔吐を軽減する能力をさらに高めることになるかもしれない。より良い医薬品が発見されるため、THCとその他のカンナビノイドに関するより多くの基礎的神経薬理学的研究が必要とされている。

 

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